止まらぬ 歯車









   暗い通路を、懐中電灯の明かりだけを頼りに、ゆっくり進む。
 剥き出しになった配管や、複雑に重なりあった機械類。無惨に捻じ曲げられた室内。
 何かが衝突したとか爆発したとか、そんな単純な捻じれではなかった。何か異常な力、とてつもなく強大な力が加えられたかのような。

  ------  何か   音がした  -------
 暗闇に向かう。
 外では教授たちが、自分の報告を待っているだろう。安全な氷原、守られた空間で。
 南極で発見された異様な物体。
 氷の中から突き出たソレは、何か巨大な構造物の一部と思われたが、その材質すら解らなかった。直ちに組まれた調査隊に自分が含まれたのは、単に若くて体格が良く、体力があるからというだけの理由だ。科学者のはしくれとして教授の助手をしていたが、何年たってもうだつのあがらない自分だった。この先も、ずっとそれは変わらないだろう。

 声が聞こえる-------
 奥へ向かう。奥へ。奥へ。     闇へ。


 どれほど歩いたのだろう。
 この物体は、巨大な-----「艦」のようなものに思えた。一切無駄な装飾のない、まるで「戦艦」のような。
 コレはいつからここにあったのだろう。錆付いたり風化したりしていないのは、南極の氷に閉じ込められていたせいか?
 自分の歩く、乾いた音だけが響く。
 -------- 死体が ない ---------
 この艦のどこにも、生物の骸はない。もともと自動操縦なのか、もしくは何かの理由で消滅したのか。このような巨大な艦を、一体誰が操っていたのだろう。
 ふと。
 先の方に薄ぼんやりと明るさが見える。急いで行くとそこには。
   --------- 『 脳 』 が あった。 ----------
 「ソレ」は、かろうじて 生きていた。そして招く。頭の中に、直接語りかけて。
 何本もの触手が自分の中に入り込んでくる。頭に、顔に、体に。
 そして視た。
   宇宙を。 
   絶望を。
   希 を。





                 ☆


 「ブライ様。お目覚めですか。」
 扉の外から百鬼兵士の声が掛かる。
 「うむ。入れ。」
 兵士は直立不動で報告する。
 「新しい百鬼獣が完成しました。」
 「うむ、すぐ行く。」
 「はっ!」


 百鬼獣か。
 ブライは呟く。
 あの時、艦の中で見つけたロボットは、一目で戦闘用と知れるものだった。完全なものはなく、部品も資材も、予備はなかった。直すにも、不足している材料は地球のもので間に合わせるしかなかった。そのため、おそらくは本来の力よりも弱いものとなっているだろう。
 あの艦は、どのような戦いをしてきたのか。ギリギリの資材、装備で。
 あの時、自分の頭のなかに流れ込んできたイメージは、まるで最終戦争のようだった。それも、負ける側の。
 絶望に溢れ、恐怖におののく戦い。
 その中で、ただひとつの希望がこの艦だった。
 この宇宙戦艦を地球に送る。そして、未だ弱い地球、ゲッターを倒すのだ!地球を掌中におさめ、ゲッター線を永遠に葬るのだ!!
 20年前のあの時。
 ゲッター線はまだ公になってはいなかった。一部の科学者の間で、太陽から降り注ぐエネルギーの中に、不可解なエネルギーがあると囁かれていただけだった。日本人の科学者が一人、それを取り出すのに成功したとかいう噂を聞いたぐらいでしかない。そのエネルギーがどれほどの力を持っているのかもはっきりしなかったし、それがゲッター線と名付けられたのももっと後だ。
 そんなことよりも。
 自分は手に入れた力の大きさに酔っていた。
 「脳」と一体になったとき起きた振動で、艦の埋まっていた氷は砕け、氷原にいた調査隊は全滅した。自分の名も遭難者となった。そして、自分は新たな生を生き始めたのだ。
 頭脳が活性化していくのがわかった。一生、うだつのあがらない学者で終るはずだった自分が、世界を手中に収め得る力を得たのだ。人類の主として君臨すべく。
 だが、百鬼獣や兵士の改造に20年もの歳月がかかった。その間にゲッター線が公表された。少量で膨大な力を有するエネルギー。
 ただそれだけはずなのに、いいようのない不安が押し寄せてきた。たかが効率のよい動力エネルギーに過ぎないのに。
 自分のものではない記憶が感情を逆撫でる。
 恐怖・憎しみ・焦り。
 ついに百鬼帝国を顕そうとしたとき、予期もせぬ先住者が現れた。あの下劣なハ虫類、恐竜帝国。
 一度、地球の流れから葬られた愚かな種が、なにを血迷って出てきたのか。さっさと倒してしまおうかと思ったが、ゲッターロボを見て気が変わった。共倒れになれば良し、どちらかが残っても、我々百鬼帝国の敵ではない。宇宙の叡智を引き継いだ百鬼帝国。
 ゲッターを恐れる記憶は自分のものではない。これほどの力を持っていて、何ゆえゲッターを恐れる必要があろうか。一歩譲って、ゲッターが人智を超えたものだとしても、操るのは人間だ。この、神にも等しいブライ大帝に敵う者があろうはずはない。
 私が帝王だ。地球の支配者だ。すべての富も栄誉も我が物に!





         
           ☆      ☆


 
 「ゲッター   シャァァァァ----ィィ---ン!!!」
 空気を切り裂くリョウの叫びに、3つのペダルが踏み込まれる。
 「遅い!!」

 シュミレーションルームにピリピリとした空気が満ちている。
 顔を紅潮させ睨みつけるリョウ。気まずそうに俯く弁慶。やれやれといった顔の隼人。まわりの所員たちは落ち着かない様子で見守っている。
 シャインスパーク。
 ゲッタードラゴン合体時に、3人が同時にエネルギーペダルを踏み込む。タイミングが10分の1秒遅れても発動しない。
 同時に。瞬時に。
 一気に開かれたエネルギー回線が、一点に集中することによって生まれる莫大なエネルギー。3機すべてのエネルギーのほとんどを一気に放つため、失敗は許されない。一度で敵を仕留めなければ即、自分達が危機に陥る諸刃の剣。
 ここしばらく、ゲッターチームの訓練は休む間もなかった。
 「あのー、神さん。」
 おそるおそる、といった風に声が掛かる。
 「早乙女博士がお呼びです。」
 まだ若い所員が入り口から覗き込む。
 「今、行きます。」
 シュミレーションシートからさっさと降りると、
 「リョウ、あと、よろしくな。」
 「おうよ、まかしとけ。」
 ニヤリと笑うリョウ。
 「もう一息で出来るようになるさ、なあ弁慶。」


 「失礼します、博士。」
 隼人が部屋に入ったとき、早乙女はいつものように机にペンと紙を持ってしがみついていた。周りに散らかされた紙の山。
 「おう、隼人君。シャインスパークの方はどうだね。」
 平淡に尋ねる早乙女に、
 「今のところ、ベストとは言えませんね。」
 「やはり、弁慶君か。」
 気になっていた、というより当たり前だろうなという風の早乙女の言葉に、
 「タイミングは合っているのですがね。」
 隼人にはわかっていた。勿論、リョウにも。
 弁慶は決して感の鈍い奴ではない。運動神経も反射神経も、他の人間と比べればずいぶんと優れている。ただ、同僚であるリョウと隼人には劣るだけで。
 「ペダルを踏み込む速さが、今ひとつ俺たちと合わないんですよ。」
 ちょっと困ったように隼人が答える。自分達が弁慶に合わせることはできる。だが、シャインスパークの場合、何といっても時間が勝負だ。エネルギーが満ちる間、ゲッターは無防備になるのだから。
 「ふむ、困ったものだ。」
 呟く早乙女の言葉の響に、隼人はほんの少し、違和感を感じた。早乙女の意識は戦いに向いていない?
 「博士、御用は何ですか。」
 「ああ、実はな・・・・・・・」
 コンピューターの大画面いっぱいに、溢れんばかりの数式が表れる。次々と画面を切り替えていく早乙女。
 「・・・・・これは・・・・・・・」
 呆然と見詰める隼人。
 「新しいゲッターの構想だ。」
 早乙女の声は、どこか恍惚としていた。
 目眩を堪えながら、隼人は早乙女を見た。
 このようなロボットを考え出す頭脳に、もしくはこのようなロボットを生み出そうとする執念に。
 戦慄した。
 「ゲッター線は、確かに微量であっても莫大なエネルギーを持つ。だが、地球に降り注ぐ量はまだ少ない。もっともっと、無限のエネルギーが必要だ。わしの目標は、自らがエネルギーを取り込むゲッターだ。宇宙に散らばる無限のエネルギーを、自らの意志で我が物とするロボット・・・・・・」
 憑かれたように早乙女は言葉を紡ぐ。狂気とも見える眼差し。
 何故だ?
 何故これほどまでに、ゲッターを進歩させねばならぬのだろう。これはすでに進歩の域を超えて、「進化」と呼ぶしかない。
 隼人は疑問に思う。百鬼帝国は現れたが、ゲッターロボGでは駄目なのか?今訓練中のシャインスパークは切り札に成り得ないのか。リョウや弁慶、そして自分の能力はそれほど弱いものなのか。それとも・・・・・・早乙女、いや、ゲッターの敵は、百鬼帝国ではないというのか。もっと、とてつもない・・・・・・・
 「・・・・・・で、ここの計算なのだが・・・・・どうしてもここは・・・・・・・・」
 早乙女の言葉が、なぜか遠くに聞こえる。異世界の言葉を聴くような。
 「隼人君?」
 黙ったままの隼人に、早乙女は苛立たしげに問う。
 「あ、すみません。」
 隼人は、早乙女の問いに答えるべく、画面に目を遣りキイをたたく・・・・・・・


  ・・・・・・・・  宇宙の奥津城で   破壊神は  目覚めを待っている ・・・・・・・






 「リョウ、いいか?」
 隼人がリョウの部屋をノックする。
 「あれ、隼人。めずらしいじゃねぇか、お前が俺の部屋にくるなんて。」
 リョウが驚いたようにドアを開ける。
 「少し付き合え。」
 隼人が指で外を指す。リョウはちょっと首をかしげたが、おとなしくついていった。
 満天の星。
 研究所は国立公園の中にあるので周りは自然だらけだ。木々を揺らす風が心地よい。
 「どうした、隼人。」
 研究所を少し離れたところで、黙ったままの隼人にリョウは声をかける。
 「弁慶の調子はどうだ。」
 自分の問いに答えぬ隼人に気を悪くするでもなく、リョウは答えた。
 「もう少し、ってとこだな。ずいぶん素早くなったぜ。ペダルの踏み込みすぎで、足の皮が剥けたと喚いてるけどな。」
 すっ、と草の上に座る。促すように隼人を見上げる。
 隼人は傍らの木にその長身をもたれさせ、宙を見上げる。
 「・・・・・・・・ゲッター線が太陽-----恒星から多く発せられるものならば、これらの星々の持つ惑星のどこかで、地球と同じように誰かの手で、ゲッターロボは造られているのかな・・・・」
 「・・・・・・・・おい・・・・・・・・」
 大丈夫か、頭。と続けそうになって、さすがにマズイかとリョウはこらえる。隼人のことだから、何か純粋に学術的な意味かもしれない。まさか、ロマンチックに浸っているわけではないだろう。まさかな。でも、最近、コイツは忙しすぎるからひょっとして?現実逃避?
 早乙女博士の代わりにあちこちの会議や説明に飛び回っているし、研究所に居れば居たで、俺たちとの訓練がある。シャインスパークの完成に時間を取られているし、さっきみたいに途中でも早乙女博士に呼び出しをくらったり。だいたい、この間も総務部の主任から、研究器材や薬品の納入業者への対応を頼まれていた。そりゃ隼人は何事にも如才ないし、必要・不必要も瞬時に判断できるし、値段の交渉だってお手の物だけど。てめぇらの仕事だろうが。もともと隼人が何のためにスカウトされたかっていうと、俺と同じ、ゲッターのパイロットとしてだろうが。ゲッターを動かしてりゃ文句ないはずだ。何だって、次から次へと仕事押し付けるんだ。一度、博士やみんなにガツンと言ってやらねえとな。働きすぎてオカシクなったらどうするんだよ。こいつがオカシクなったら、もうテロなんてレベルじゃないぞ。 ゴール+ブライ+敷島博士だ!
 自分で想像しておきながら、リョウはタラリ、と冷や汗が出る。見たくねぇ。
 「・・・・・・いいかげんにしろ・・・・・」
 隼人が苦りきった顔で見ている。
 「エッ。なんで俺の考えがわかるんだ?」
 やっぱし、こいつ、テレパシーをものにした・・・・?
 「知られたくなかったら、口にするな。」
 どうやら、いつのまにか声に出していたらしい。
 「まったく・・・・」
 やれやれ、という様に、隼人がリョウの隣に座る。
 「別にロマンを求めたわけじゃないさ、ただな・・・・・」
 ここで細身の煙草なんぞ銜えると格好つくのになあ。白い横顔を見ながらリョウは関係ないことを思った。隼人は指も長くて細いからスリムなライター、いや、案外マッチでも似合うかもしれない。少し気取って、でも郷愁を帯びて。ゆらゆらと紫煙をくゆらせ、そうだな、匂いはあまりニコチン!っていうのはヤダな。もっと、そう、葉巻みたいな。でも俺、葉巻の匂いなんて知らねぇけど。
 「ひとりごと続けるんなら、もう戻るぞ。」
 眉を顰められてしまった。
 「い、いや、すまん。悪気はねえんだ。最近、お前とゆっくり話というか顔を合わせることもあまりなかったろ。訓練中は無駄話できないし、今日だって途中で抜けたじゃないか。久しぶりだもんでつい色々とな・・・・・」
 説明になっているのかいないのか、自分でもわからないような言い訳をする。
 「その、今日、博士に呼ばれたときのことなんだがな。」
 「ああ。何の用だったんだ?だいぶ時間がかかったみたいだな。さっきまで研究室にいたんじゃないのか。百鬼帝国について何か解ったのか。それとも、ゲッター何か?」
 「いや、新しいゲッターロボの構想を、少し聞かせてもらっただけだ。」
 「え!また新しいゲッターを!すごいじゃないか。今度のはどんなだ?」
 目をキラキラと輝かせるリョウ。
 「まだ構想の段階だ。ゲッター線増幅炉を超えた究極の収集装置。ゲッターロボ自身が宇宙から降り注ぐゲッター線エネルギーを取り込むようにしたいらしい。」
 「そりゃまた、すげぇこと考えたんだな。エネルギー切れを心配しなくていいなんて、戦いにもってこいじゃないか。」
 驚きとともにワクワクしたリョウだったが、隼人の顔の翳りに気が付いた。だいたい、隼人がこんなふうにリョウに研究について自分から話かけてくるなんて今まであったか?別に隠しているとまでいわないが、博士から言われるまで、わざわざ聞くことはない。リョウもあまり興味がないといったほうが正しいかもしれないが。自分に直接関係のあることだけ、教えてもらえればいい。まだ構想の段階で話すところをみると、何か気になることがあるのだろうか。
 「おまえ、何か気にいらねぇのか?」
 ストレートに聞かれて、ちょっと苦笑する。
 「気に入らないというより、必要なのかと思ってな。」
 「? どういう意味だよ。」
 首をかしげる。そんな凄いゲッター、あったほうが良いのに決まってないか?
 「今のゲッターはそんなに弱いか?シャインスパークも、もう完成する。」
 「そりゃ・・・・・・今は戦えると思うけどな。でも、前のゲッターのときだって最終的には恐竜帝国に敵わなかった。今のゲッターロボで勝てたんだ。百鬼帝国だって今のゲッターで勝てないとは思わないけど、何があるかわからないだろ。もっと強いゲッターがあれば、それに越したことはないんじゃねぇか。それは、俺より、おまえのほうが良くわかっているだろうに。」
 いつだって冷静で正確で合理的で。戦いに一番真摯なのは隼人自身だ。どれほどの犠牲を払っても、必要であれば成し遂げる。だから隼人が一番、強い力を求めているんじゃないのか。犠牲を少しでも減らせるように。
 「・・・・・・・不安・・・・かな。」
 「不安?おまえに一番ふさわしくねぇ言葉じゃないか?」
 思わず目をみはるリョウに、
 「おまえ、俺をどんな人間だと思っているんだ?」
 「・・・・・・・・言っても、怒らねえか?・・・・」
 上目づかいに尋ねられ、
 「いや、言わなくて良い。」    脱力する隼人。
 「俺が気になるのは、リョウ。自分で自分のエネルギーを得ることのできるロボットは、果たして制御できるかってことだ。
 もちろん、制御や起動のための装置や回線は徹底するが、結局、スイッチひとつで作動するものだ。『エネルギーを取り込む----遮断する。』  『ON』 ・ 『OFF』
 ただでさえゲッター線は信じられない金属変化を促すエネルギーだ。何かの切欠で、暴走することがないとはいえない。そのとき、俺たちは制御できるだろうかってな。」
 「そりゃ・・・・・できる・・・・だろ?だって、ロボットだぜ。操縦者がいるだろ。気になるんなら、自動操縦をはずすとか・・・。いや、やっぱないと困るよな。3人揃わないときもあるだろし。あ。だったら、えーと・・・・」
 必死になって知恵を絞るリョウを見ていると、隼人は微笑ましい気持ちになったきた。特にリョウに答えを期待していたわけではない。少し気が重くなっていただけだ。あの早乙女博士の眼、取り付かれたような光が気になって。
 リョウと話をしているうちに、ずいぶんと楽になった。
 「そうだな。人間の作ったものだ。人間が扱えて当然だろう。設計者は早乙女博士だし、操縦するのは俺たちだ。」
 「あったりまえさ。どんなロボットだって、俺様にかかればテレビゲームみたいなもんだ。」
 胸を張って威張るリョウ。その様子が、子供みたいで可笑しい。他に類なき戦士だというのに。
 リョウは、自分に向けられた隼人の穏やかな眼が嬉しい。久しぶりに見る。
 「そうだ、隼人。いつか、戦いが終ったら、宇宙に行かないか。」
 「宇宙?」
 「ああ。おまえの言うように、他の星にもゲッターロボがあるかもしれねえ。探しに行くのも面白いぜ?そのときにはゲッターエネルギーは無限だろうから、エネルギー切れの心配はないし、弁慶がいれば喰いもんも毒見できるだろうさ。」
 「フッ・・・・・そうだな。それもいいな。探検のためだけに、旅立つのもいいな。」


    天空の彼方。    想いの彼方。    時の彼方。


 
 「今日、マキシム教授から手紙が着いてな。」
 「マキシム博士って?」
 「世界的な考古学者で、古代文字の権威だ。一度学会で話す機会があってな・・・・・・・今度、素晴らしい遺跡を発見したと興奮して書かれていた。時間があれば来てみないかと。」
 「おい、行くのか?」
 「いや。ただ、何が見つかったのかと思ってな。ここ数年、地球は信じられないことばかり起こっている。ゲッター線が発見されたと同時に恐竜帝国が現れた。少し前までは誰もそんなこと、信じられなかっただろうに。恐竜の次は鬼だ。他にも何かあるのかな。
 地球はこの銀河の中心から離れた、辺鄙な太陽系の一惑星にすぎない。だが、思った以上に重要な星なのかもしれない。それが少し気になっている。」
 深い深い宇宙色の瞳。
 「おまえは頭が良いからな。だからそんなこと考えるんだろう。俺のように、目の前のことだけ考えて片付けていくだけなら楽だろうがよ。」
 少し隼人に同情する。人を凌駕する才能を持っていることは、ある意味不幸なのかもしれない。こころが優しければなおさら。コイツは冷淡に見えるけど、自分のためにその力を使うことはほとんどない。(昔は知らないよ〜〜)
 「いいや、リョウ。俺が理解しようとモタモタしているうちに、おまえはさっさと結論に向かって行ってしまうように見えるぜ。いつかな。」


     渇望に等しい羨望の光が、宇宙色の瞳にあった。




         ☆          ☆          ☆




       ・・・・・・・・我々は今・・・・・死ぬ・・・・・・・・・
       ウザーラよ われらの文明が外界の人間の目に触れぬよう・・・・・
       永遠の地に我々をい送り出してくれ・・・・・・・


    



     
      -------*-----------*----------*-----------*----



  久々の原作版です。5ヶ月ぶり?忘れられてないかな〜〜〜
 「Saga 」 ・「War」・ 「 Others」  ゲッターばかり書いています。皆さんはどれがお好き?(いえ、どれも隼人に偏執ですから違いはないかもしれませんが。)
 ウザーラを交えての百鬼帝国最終決戦は、原作のとおりです。コミックお読みくださいませ。(おい、それで〆かよ!・・・・・いや、その、戦闘シーンが書けませんもの。汗!汗!)

   さぁて、次は何を書こうかな〜〜

            2005.8.9     かるら