崩壊・・・・そして




     断ち切られた想い   紡がれる願い












           「エンペラー!!!」

        宇宙を背にする 絶対的な力。

            「ゲッターはここまで来るのか!!」
            「俺たちはここまで来るというのか!!」


            「凄い。 あまりにも凄すぎる世界・・・・・・」

            「俺たちは どこまでバケモノになっていくんだ。」
            「見てみたい!!ゲッターが、何処から来て 何処へ行くのか!?」





                      ☆




        「・・・・・・たぶん・・・・・生き残ったのは・・・・・・

                       俺たち二人かもしれん・・・・・・・」

                       






 季節はずれの長雨は、すでに一週間続いていた。
 鉛色の空から、いつ止むともなく単調に。
 そういえば、こんな日だったな、俺がここへ来たのも。
 親父の遺影を抱いて全日本武道大会の会場に乗り込んだ。そこにいた、優勝者をはじめとする選手たちをぶちのめした。空手界から追放された親父の仇は討ったが、あとには虚しさしか残らなかった。
 これから先、何を目標に生きていけば良いのか。自分は何のために修業を積み、此処まで来たのだろう。
 自棄になって拳を打ちつけたとき、突然現れた見知らぬ男達。凶暴で、狂った眼をして襲ってきた。わけもわからず、無我夢中で倒したあと、昏倒した。
 目覚めたときはここにいた。そして見たのだ。自分の力を最大限に生かせると信じられる ゲッターロボを!
 それに、北海道の大雪山へ偵察に飛んだときも。
 原始人化していく人々。イーグル号が不時着して、負傷した俺を助けてくれた武蔵に会った日も、雨が降っていた。
 ああ、そして・・・・・
 こいつを迎えに行った日も。


 「もう行くのか、リョウ。」
 コンピューターを操作する手を止め、隼人が振り向いた。
 見慣れた白皙。動かぬ表情。だが、その内に秘めた熱情は、自分と同じくらい激しいもので。
 チームを組んで、すぐに自分と同類だと感じた。求めるものか、焦がれるものか、理由はわからないが、ただ感じた。いつも共にいて、いつしかそれが当たり前になっていた。互いの道がわかれることを、考えるだにしないほどに。

     道を違えたのは---------
 「待っていても、この雨はとうぶん止みそうにないからな。行くさ。」
 肩にかけていた大きな袋をボンと床に置く。仮の研究室として使われている大型のトレーラーハウスには、機械の発する唸りの他、声はない。窓ガラスの外、黒々とそびえる早乙女研究所-------残骸。
 早乙女博士をはじめとする研究所の所員達、ミチルや元気も含め270名全員、骨すら残っていなかった。形見としたい時計や貴金属も、手に取ろうとするとサラサラと崩れて散った。
 「親父さんの残していた道場に住むと言っていたな。」
 「ああ。山ン中のぼろっちい道場だけどな。しばらくはそこに居ようと思う。」
 「家のほうはどうする?」
 「家?」
 「東京の郊外に家を持っていただろう。」
 「?・・・・・・あ。」
 そういえば、いつも道場のほうにいたからめったに使っていなかったが、たしかにもうひとつ家があった。東京のはずれ、昔ながらの古い家が立ち並ぶ一角。家というにはボロすぎるうえ、ゲッターにスカウトされるときのテスト(?)でアブナイ奴らに穴だらけにされたっけ。あれから一度も戻っていなかったから忘れてた。まだ残ってたのか?
 「建物のほうは戦闘に巻き込まれたから、もう潰れているがな。今、あのあたりは新興住宅地となって再開発されている。土地の値段も上がっている。必要ないのなら売ると良い。当分はお前も金なんてたいしていらんだろうが、いずれ、どこかで空手道場を開くにしても、金はあったほうがいい。手続きぐらい、してやるさ。」
 研究所の後始末。
 ゲッター線の暴走によって大惨事を引き起こした研究所。国立公園にあったため、付近一帯には人的被害はなかったが、その爆発の凄まじさにゲッター線研究の停止が検討されている。政府への様々な書類の提出や説明もさることながら、270名もの犠牲を出したのだ。遺族への保障や陳謝など、すべてが隼人に押し付けられている。それでも、去っていくリョウに何ひとつ、非難の言葉を口にしない。
 「すまんな・・・・・お前にすべてを押し付けて・・・・」
 だが、俺達は離れなければならない。少なくとも、俺はゲッターと関係するすべてから。
 「気にするな。たいしたことではない。」
 淡々と口にする。まるで、いつもの仕事を片付けているかのように。遺族達から非難の言葉も浴びるだろうに。
 「すまん・・・・」
 心から詫びた。再び共に歩くことの叶わぬ・・・・・・友へ。
 二人、トレーラーハウスを出る。
 雨が降っている。
 研究所を見上げる。
 無惨な威容。
 ・・・・・・こんなことがなくても、リョウは研究所を出て行くつもりだった。あの、夢と言い切ることのできない映像。ゲッターエンペラー。隼人と見た未来。
 隼人の知らないあの・・・・・声。
 ゲッターを離れるしかない自分。だが、こんな状況で別れなければならないとは。お互いすべてを失い傷ついて、本来ならば助け合い力づけ合って乗り越えるべき現実を。
 俺は何も言わない。
 隼人は何も聞かない。



 「幾人もの人間が犠牲になった。弁慶や武蔵もそのうちの一人だ。その犠牲に無意味なものなどなかったはずだ。それよりも、俺たちがもっと意味を持たせるべきだ。」
 逝った者たちへの贖罪のために生きる隼人。


 「ゲッター線が人類の進化を促したとしても、それが人類のためにならないのなら従う必要はねぇ。運命に逆らうのも運命だ。」
 それも人類の進化だと言い切るリョウ。
 
       お互いが、ニヤリ、と笑って別れるはずだった。


 雨が冷たい。
 鉛色の空を背にした研究所は、まるで墓標のようだった。
 ああ、そうだ------
 崩壊のあの日も  雨が   降っていたな。






                 ☆                 ☆ 




   十数年後。
 
 



 リョウは町を歩いていた。
 月に2回、この町で空手道場を開いていた。小学生から一般までが対象だが、かなりの荒っぽさから塾生は多くない。それでも人柄を慕ってくる者も結構いる。熱心な4人は、自分達から四天王と名乗って、山中の道場に住み込んでいる。今日もそのうちの二人は、先に塾生たちの指導に向かっている。
 退屈だが平穏な日々が過ぎている。時折、新聞やテレビなどで隼人の名を見ることがある。離れて4年後、北極での「宇宙開発基地計画」と銘打った、世界統一大プロジェクトに参加したと聞いた。さすがだな、隼人。もともとゲッターは宇宙開発用のロボットとして開発されるはずだった。一度もその目的に使われたことはなかったが。これでやっと本来の目的、早乙女博士達が本当に望んでいた平和利用に、その能力を発揮することができるのだろうと安心した。少し心は痛んだが。きっとそれは、ささやかな嫉妬なのだろう。ひとり山の中で、確たる目的もないままに修業を続ける自分。強さを極めることにも意義を見出せず。
 しかし、数ヶ月のうちに、そのプロジェクトそのものが世界征服のためのものだと隼人は知った。すでに各国の関係者達は洗脳され、遅れて北極に入った日本チームだけが脱出することができた。基地を破壊し、野望を食い止めたのが元ゲッターチームの神 隼人だと聞いたとき、リョウは体が震えた。あいつは今も戦っている。ひとりとなっても 。
 そのあと、隼人は長く生死不明だった。リョウは自分が共にいなかったことを、どれほど悔やんだことか。俺と隼人の二人なら、どんな境遇に陥っても互いを守れたのにと。
 だが。
 あの日。
 隼人にどうしても、告げることの出来なかった未来。


  「チェーンジ  ゲッターエンペラー 1!!」


 宇宙を震撼させるその声、それはまさしく自分、 流 竜馬の声だった!!


 

 
 あれがいつの未来なのか、わかるはずもない。だが、あれほどの船団、何よりもエンペラーと名乗るロボットが、百年かそこらで造られるはずがない。誰が考えても何百年も先の未来だろう。
 だが何故そこに俺がいるのだ?
 冷凍睡眠でもしたのか?まさか、生き続けたわけではないだろう。
 いや、それよりも。
 たとえ、俺がずっと戦い続けるのだとしても、それだけならばあれほどの恐怖はない。
 そこには。
 自分の声以外、知った声がなかったのだ。
 2号機に似た戦艦からも。
 3号機に似た戦艦からも。
どんな轟音に混ざっても聞き逃すことのない声が。

 自分に呼びかけることは なかった。


 ゲッターエンペラーを動かすのが俺ならば。
 ならば俺はゲッターを離れよう。
 それによって変わるかも知れない未来。だが、あんな殺戮と破壊ばかりの未来ならば変わっても良い。
 また、他の者が俺の代わりにエンペラーを操るとしても、それは俺に関係のないことだ。
 俺は「ヒト」として
 地球の時間に埋もれよう。



 そう決意して、研究所、いやゲッターを離れたことに悔いはない。幸い、というか、ゲッター線研究は政府によって閉ざされた。ゲッター線を研究すべきだと言っていた隼人も、自分の考案したプラズマボムスをエネルギーとするロボットの開発に取り組んでいると聞いた。平和のため、発展のためのロボット。
 隼人までがゲッターから離れたのなら、お互いが再会してもいいかと思ったが。
 頭の奥底、体内の奥から発せられる警告。2人が共にいれば、きっとゲッターを呼び寄せてしまうだろう。そんな理由のない確信。
 隼人の頭脳は人類に必要だ。だからあいつはその能力を、余すことなく発揮するといい。それが本人の希望かどうかは別として。
 俺は力を抑え、想いを抑え、平凡に生きて・・・静かに逝こう・・・・・
 


 争う声がする。
 リョウはそちらに意識を向けた。眉を顰める。ひとりの女に4人の男が絡んでいる。この小さな町も、ずいぶんガラが悪くなったもんだ。
 絡まれている女は小柄で、美人というより可愛いといった感じか。顔に似合わぬキツイ眼で、男達を睨んでいる。一人の男が女の腕を掴む。
 「やめな。」
 とリョウが声を掛けようとしたとき、男が宙に飛んだ。
 『はあっ?』
 思わず目を見開くリョウの前で、次々と男達が投げ飛ばされる。見事な背負い投げだ。地面に叩きつけられた男は、ぐぅの音もでない。
 なんとなく愉快になって見物しているリョウの目の隅で、ひとりの男が懐に手を入れるのが見えた。キラリと光るナイフ。
 「ぐわぁ!!」
 男が腕を折られ、うずくまる。
 「!」
 さっと振り向いた女性は、リョウと呻いている男、落ちているナイフに目をやり、つかつかと近づいてきた。
 「ありがとうございます。」
 軽く頭を下げる様子が好ましい。
 「いや、面白いもん見せてもらったぜ。あんた、けっこうやるじゃねえか。」
 ニヤッと笑う。
 その顔を、何故かじっと見詰めている。
 「?おい?」
 「あ、あ・・・・・・もしかして、流 竜馬さん?!」
 驚いたように叫ぶ。それに竜馬は顔を顰めた。
 ゲッターチームの流 竜馬。
 もう10年以上経つというのに、いまだ流 竜馬の名はゲッターチームの冠を離れない。憧れと驚きと好奇の入り混じった眼で見られることに、竜馬はうんざりしていた。思い出したくない、思い出してはいけない記憶。
 くるっと背を向けるリョウに、」声が呼ぶ。
 「流 竜馬さんでしょう?!17年前、武道大会をメチャメチャにした!!」
 『はぁっ??』
 思わず振り向く。キラキラした瞳がリョウを見ている。
 「私、あの場で見てたんです、あなたの凄い空手技を!」


17年前の雨の日。
 その強さゆえ空手界を追い出された親父の遺影を胸に、リョウは武道大会の会場を訪れた。自分から見ればチンタラとしたダンス。寸止めの拳。見世物と化した武道大会。
 武道とは、自分の限界を超え、命がけで敵を倒すことだと教え込まれたリョウにとって、これが日本空手界の頂点だとは許せなかった。優勝者をはじめ、向かってくる選手たちを一瞬で倒した。あまりのあっけなさに、父の仇を討ったという感慨さえなかった。あれほど必死になった、文字どうり死を賭けた修業など、何の必要もなかったのだ。
 虚しさだけが残った、あのとき。
 自分の中では遠い、もう、記憶にすら残っていなかったあの出来事を、この目の前の女性は覚えていたのか。
 「私、あのとき中学生になったばかりで。兄が予選に出たので応援に行っていたんです。そして貴方を見て。
 凄かったです。嵐のように速くて、次々と皆飛ばされて。わたし、あなたに憧れて柔道始めたんです!これでも今は、日本女子柔道界の3指数えられているんですよ!」
 まくしたてるように、顔中を輝かせてしゃべりつづける。
 リョウは不思議な感覚だった。
 あの無名なときの自分。おそらくは、怒りと蔑みで悪鬼のように相手をぶちのめしていたであろう自分を、このような目で見ていた人間がいたとは。しかも、それはずっと変わっていないようだ。あれから俺はゲッターのパイロットとして、それこそ日本どころか世界中に名を顕したはずなのに。
 この嬉しそうに俺を見る目には、俺が「流 竜馬」としか写っていないようだ、荒っぽい、空手家の。

 「こんな所でお会いできるなんて、夢のようです。
  お付き合いしてください!!!」
 「へっ?」



 それから彼女は月2回、竜馬が町の道場に指導に来るたびに会いに来た。そして道場でも手伝った。自分で女子柔道界で3指に入ると言うだけあって、技術も大したものだし、教え方も上手かった。今まで荒っぽいだけの教え方ばかりだったから、塾生たちの評判も良かった。
 「師匠、スミにおけないっすね。」
 ニヤニヤとからかう弟子達に、ゴツン!と拳骨をくれてやりながら、
 「うるせーよ。そんなんじゃねえよ。」
 と言いつつ、なんかむず痒いような、落ち着かないリョウだった。
 5歳も年下のくせに、あれこれとリョウの世話を焼き小言を言う。
 今まで、特に女性と付き合ったことはなかった。
 研究所にも多くの女性がいたし、自衛隊や、訓練を共にしたアメリカ軍にも女性兵士は多くいたが。
 それらはみんな、なんというか、同僚だった。
 ゲッターチーム。研究所。その他。
 考えてみれば、自分の世界は恐ろしく狭いものだった。それほどゲッターチームが重かったのだが。
 リョウは母親を覚えていない。
 厳しさ一筋だった父親を思うと、母親は、おそらくおとなしくて儚い人だっただろうと思っていたが。
 目の前で、自分の怒鳴り声にもめげず行儀についてギャアギャア喚く彼女を見ていると、案外自分の母親も、こんなふうにしたたかで、陽気な人だったかもしれないと思えてくる。あの頑固な父親が、頭ごなしに叱り付けられていたかと思うと可笑しい。
 「・・・・・・・子供が生まれてきたら・・・・」
 小言なんかきれいに流して一人考えに耽っているとうちに、彼女が驚くことを言う。
 「・・・・・きびしく育てますからね。」
 「おい、俺は、お前と一緒になるなんて言ってねえぞ!!」
 慌てて訂正させようとするが、相手は一向に気にしていない。呆れながらゴロンところがり、こんな生き方もいいかな、とリョウは思い始めていた。
 平凡に。平凡に。
 ランドウとかいうキ○ガイ野朗が世界征服を企んでいるようだが、結局は人間同士の争いだ。隼人達が負ける訳はねえ。アイツはそんなに弱くはない。
 俺の戦いは。
 ゲッターを封印することだ。決して目覚めさせてはならない。
 エンペラーを この宇宙に。





             
              ☆           ☆           ☆









 「これを・・・・・・・」
 リョウの弟子がふたり、一枚の紙を手渡す。
 訝しげに受け取ると、それは。
 「これは・・・・・」
 婚姻届だった。夫の欄に流 竜馬の署名と印。証人にはこの二人。
 妻の欄だけが空いていた。 
 「師匠からです。自分の道場を貴女に受け取って貰いたいと。」
 「竜馬さんは?」
 書類を掴む手が震える。
 「3日前、迎えが来てゲッターに乗り込みました。きのう、ヘリで俺たちのところへ来て、これを貴女に渡してくれと。
 戻ってくるつもりだが戻れねぇかもしれない。今まで世話になったから何か残したいが、急だったし手続きがわからねえ。隼人に聞くのもこっぱずかしいから。これならちゃんと譲れるだろう、と。もちろん、嫌なら破って捨ててくれとおっしゃっていました。」
 「あの人は今、どこに?」
 「早乙女研究所です。封印されていたゲッターロボを、動かすのだと言われました。」
 彼女は目を閉じる。すぅっと大きく息をつき、
 「わかりました。」
 さっとペンを取ると自分の名を妻の欄に書き込む。印を押し、封筒に入れ市役所に宛てる。
 「届出は郵送でもいいはずです。私は研究所にいきます。」
 凛と立ち上がる。
 慌てて二人も立ち上がった。外に出たとき、一瞬、空が暗くなり即、眩しい光が溢れた。
 「えっ?」
 いくつもの、深い想いが 空を翔けていった。






 「ここでお一人で暮らすのですか?」
 「ええ。私は流 竜馬の妻ですから。」
 ハチュウ類人の襲撃で壊された道場の床や壁の修復を終えて、竜馬の弟子の4人は出されたお茶に手を伸ばす。
 「師匠は、何か不都合があれば隼人に言え、とおっしゃっいましたが。」
 「隼人さん・・・神さんは、私のことを知っているのですか?」
 「いえ、多分知らないと思います。神さんはこの道場については私に、『リョウはまた会おう、と言っていたからな。あいつの家がないと困るだろう。壊れたところは直しておいてくれ。俺は見に行かないが。
本当は、あいつを迎えに行くべきじゃなかった。タイールのやつがゲッターを動かせるとわかっていたら、あいつがいなくても頭数は揃ったのにな。あいつを呼び寄せたばっかりに、また俺が残されちまった。』と、辛そうに言っていました。もし貴女のことを聞いていたのなら、すぐに会いにきたと思います。師匠のかわりに、何か力になれることはないかと。あの人は何でも出来る人ですから。」
 「では、神さんにはこのまま黙っていてください。私は一度も竜馬さんから、ゲッターチームのことを聞いたことはありませんでした。あの人にとってゲッターロボは禁句でした。全く関係がないかのように。でも、私にもわかっていました。あの人が、本当は何処に居たかったのか。
 ・・・・・・・理由は知りませんが、あの人はそれを心に押し込めたのです。ゲッターに関するすべてを封印したかったのです。ですから私もゲッターに関わる人に会うことはしません。流 竜馬は純粋な空手家でした。世界最強の。」






      ☆         ☆         ☆          ☆



 誰もいなくなった道場で。
 ゆっくりと 愛しげに、自分の中に芽生えたばかりの小さな命に語りかける。

 あなたのお父様は素晴らしい人よ。自分を犠牲にして私たち人類を、そして地球を守ってくれたの。あなたが大きくなったら、たくさん話してあげましょう。どれほど強かったか、どれほど真直ぐな人だったか、どれほど・・・・・・人を愛せる人だったかを。
・・・・・・・・お行儀はちょっと悪かったし、いつまでも子供のようなヤンチャな人だったけど。でも、本当に私には最高の人だった。照れ屋さんだったから、きちんと「好きだ。」とは言ってくれなかったけれどね・・・・・
 あなたが男の子だったら、あの人のように強く明るく優しく、人の痛みをわかってくれる男に育てたいわ。女の子だったら、あの人のような素敵な人を見つけてほしいけど、あの人ほどの男は2人といない。先に取っちゃってごめんね、残念だけど諦めてね。
 くすっ、と笑う。



    天空は  夜。



       一際  
 輝く   赤き 星










         ----------*---------*---------*--------






  TOMOKO様  キリ番3000 リクエストです!
 お題は 「竜馬の結婚・出会い。その他」

 なんて素敵なリクエストでしょう。ドキドキして、ウフフで、照れ〜〜〜のはずだったんです。
 なのに何故私が書くと、「考察・竜馬の結婚」になるのでせう。
 ごめんなさい、TOMOKO様。しかも前半はリョウと隼人の別離だし。力不足をヒシヒシと感じているかるらです。
 リベンジリクエストは100番毎でございますから。(それはお詫びか?おねだりか!汗!)
 竜馬ファンの方もごめんなさい。お気に入らないようでしたら、どうぞお好きなお話を書いてくださいませ。私のサイトには、ちゃあんと「頂き物」のページがございます。(これはお詫びか?おねだりか!!)
 おそるおそるUPするかるらです。
                      (2005.9.2)    




   蛇足:「竜馬の結婚」でこれですと、「隼人の婚約」は推してしるべし!ですねぇ。


 追記   ところで原作を読み直してみると、場面・状況・出会いとか、大きな区切りのあるときは、よく雨が降っていますね。いつのまにか止んでいますけど。(笑)
  「號」や「アーク」ではあまり見ないですよね。そこで、結論。竜馬は「雨男」 (ぐわぁ!!)